出版社: 中央経済社
発売日: 2004/4/1
著者:岩崎 邦彦
70年代から90年代にかけて、多くの企業が顧客の数を争う「量のマーケティング」を志向していた。顧客数や市場シェアの拡大が企業の発展を意味していたこの時代には、中小小売業の競争力の弱さが際立っていたのである。しかしながら、百貨店の構造的な低迷や大規模総合量販店の不振は、多様性や異質性を求める21世紀の消費者行動に適合できなくなっていることを如実に物語っている。小規模企業にはスモールスケールなりのマーケティングが必要になる。本書は、この小規模であることのメリットを最大限に生かすためのマーケティング戦略を明らかにする。規模が小さいことを逆手にとって、それを強みに変えることができた企業は、簡単に競争の波に飲まれることはない。
【もくじ】
まえがき
第1章 小規模メリットの創造
- はじめに
- 小さいけれども、確実な需要創造
- 市場の成熟化:「個性」が消費者満足に直結
- スモールビジネスの変化対応力
- スモールビジネスの地域密着力
- 小規模メリットの顕在化
第2章 小規模メリット活用型マーケティングの構築
-小規模を”強み”に転換する
- はじめに
- 小さな店に惹かれる人々をターゲットとする
- 分析の手順
- 「中小規模店選好セグメント」の規模と買い物行動
- 「中小規模店選好セグメント」の特性
- 「中小規模店選好」に関する因果モデル
- 小規模メリット活用型マーケティングの体系
第3章 プログラム1:本格化マーケティング・プログラム
-こだわり、個性、専門性を武器に顧客を創造する
- はじめに
- 競争優位のコア基盤の確立
- 品揃え形成
- ターゲッティング:「絞り込みによる、拡大効果」というパラドックス
- プライシング:「いかに安く売らずに済むか」を考える
- 小売段階でも独自の価値を付加する
- 本格化マーケティングのポイント
第4章 プログラム2:人的コミュニケーション重視型マーケティング(1)
-垂直方向の人的コミュニケーション
- はじめに
- 人的コミュニケーションと非人的コミュニケーション
- 「強み」が「不満要因」に
- 人的コミュニケーションが顧客満足や業績に直結
- 二つのタイプの人的コミュニケーション
- 「双方向のコミュニケーション」がポイント
- マーケティング・コミュニケーションのための「ヒト」のマネジメント
- スモールビジネスはコミュニケーション・ビジネス
第5章 人的コミュニケーション重視型マーケティング(2)
-くちコミとスモールビジネス
- はじめに
- くちコミの注目度の高まり
- 消費者は、なぜくちコミに影響されるのか
- ウィルス性マーケティング
- くちコミの影響力の実験
- 小規模小売業にとって、くちコミが重要な理由
- くちコミはコントロール可能か
- ネガティブな口コミ
第6章 プログラム3:関係性重視型マーケティング
-顧客との絆を強化するマーケティング・プログラム
- はじめに
- 顧客は流出する
- 研究概要
- データ収集と測定
- 顧客維持活動の効果分析
- 顧客維持活動、顧客満足度、ストア・ロイヤリティの包括的関係
- スモールビジネスの顧客維持活動の方向性
- おわりに
第7章 小規模メリット活用型マーケティングの実績に向けて
- トライアルを積極的に推進する経営者意識
- トライアルと成果のフィードバック回路を”ON”にする
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